クジ引きの確率
先日、高校生から「条件付き確率」を質問され、その中にクジ引きの問題がありました。
二人がクジを引くとき、先手と後手でどちらが有利かを考える問題です。
数学が苦手な人にも分かってもらえるように説明してみたいと思います。
問題
2本の当たりクジを含む、5本のクジがある。
AさんとBさんが1本ずつクジを引く。
ただし、引いたクジは元に戻さない。
先手のAさんと後手のBさんのどちらが有利か答えよ。
結論
始めに結論をいうと、クジの順番は有利不利に影響しません。
これを「クジ引きの原理」というそうです。
解説
クジに番号を付ける。
AとBが引いたクジの番号を(A,B)で表すと、すべての引き方は次の全20通りになる。
また、Aが当たりを引くのは次の8通りになる。
一方、Bが当たりを引くのは次の8通りになる。
よってAもBも8通りだから、先手も後手も確率は等しい。
別解
もう少し数学的に説明をしてみます。
Aが当たりを引く確率は、全5本のうち 2本の当たりのどちらかを引けばいいから、となるのは納得できますか。
これを
と書くことにします。
記号の意味ですが、英語の確率(Probability)を使ってAが当たる確率を表しています。
Aが当たりを引く確率はとなるのを覚えておいてください。
小休憩
いったん頭を整理しておくと、Aが当たる確率はですが、Bが当たる確率はAの結果によって変わることになります。
これには、①Aが当たり Bも当たる場合()と、②Aがハズれ Bは当たる場合()で、Bが当たる確率は違ってきます。
この①と②の違いが、クジって順番関係あるの?という疑問を生んでいます。
図(ベン図)で表すと、
となります。
この後、①Aが当たり Bも当たる場合()と②Aがハズれ Bは当たる場合()で、分けて考えていきます。
①Aが当たり Bも当たる場合()
まずAが当たりを引く可能性はなのは大丈夫ですよね。
残ったクジの状態は次のようになります。
このときにBが当たる確率は、残り4本のうち 1本の当たりを引けばいいから、となります。
このが青塗り部分の確率になります。
と掛け算しているのが難所ですが、分母どうしを見ると、となり、すべてのクジの引き方 全20通りを表しています。
②Aがハズれ Bは当たる場合()
Aがハズレを引く可能性はなのも大丈夫ですよね。
残ったクジの状態は次のようになります。
このときにBが当たる確率は、残り4本のうち 2本の当たりを引けばいいから、となります。
このが赤塗り部分の確率になります。
Bが当たりを引く確率
図を見てもらうと、最終的に①と②の和が Bが当たりを引く確率になります。
したがって、AもBも当たりを引く確率はで等しくなります。
違和感
問題の説明は以上ですが、それでも釈然としないモヤモヤが残っていませんか。
これって、Aがクジを引いた後、結果を聞くかどうかの部分に誤解があるんです。
問題文は、AとBがクジを引いて「せーの」で一緒に見せ合う場合を求めています。
逆に、「せーの」で見せ合って二人の確率が違ったら違和感 持ちません?