まえがき
こんにちは、さつま芋です。
「リスクリワードが1倍で、勝率は50%」と聞いて、どう思いますか。
感覚的には引き分けだと思いますが、いかがでしょうか。
しかしながら、条件が不足しているため判断できません。
小難しいことを言うと、リスクリワードの計算方法が値幅に基づいているのか金額に基づいているのか、分割注文をするかどうかなど、前提条件を定めなければ結果が変わる可能性があります。
例えば、勝率が50%でも、ナンピンをすれば勝ち越すこともあります。
このような感覚と実際のギャップはよくある現象です。
今回は、感覚と検証を対比させて、ギャップを感じてみたいと思います。
感覚的な主張
よく聞く話ですが、「移動平均線より上側は陽線が多く、下側は陰線が多い」と言われます。
ドル円の1時間足チャートに20期間の単純移動平均を表示し、上側と下側でそれぞれ陽線と陰線のローソク足を約10,000本計数しました。
種類 | 本数(割合) |
---|---|
上側の陽線 | 3429(61.3%) |
上側の陰線 | 2165(38.7%) |
下側の陽線 | 1776(40.3%) |
下側の陰線 | 2631(59.7%) |
今回の結果によると、移動平均線を境にしておおよそ10%の偏りが確認されます。
この条件に限らず、意外と簡単に確認できる一般的な傾向だと思います。
次に思い浮かぶ発想は、「移動平均線より上側では買いが優勢、下側では売りが優勢」という直感です。
納得感のある主張ですが、本当に優位性があれば過去検証しても同様の傾向が現れるはずです。
それでは続いて実際に過去検証してみます。
過去検証
2022.08.08から2024.03.16までの約10,000本のヒストリカルデータを使い、移動平均線を売買条件として取引を検証しました。
取引量は1,000通貨に固定し、スプレッドは0.5ピプスに固定しています。
項目 | 数値 |
---|---|
純益 | 4865.26 |
絶対ドローダウン | 7138.66 |
勝率 | 24.52% |
辛うじて勝ち越したようですが、資金推移や勝率を見る限り、ローソク足の偏りが10%もあったとは感じられない微妙な結果です。
このように、感覚と実際は乖離すると考えるほうが無難です。
幸か不幸か、優位性はしばしば過剰に演出されがちです。
それを鵜呑みにすることは避けた方が良いと思います。
あとがき
「買い(売り)が優勢だ」とか「○○になる可能性が高い」という発言は多いですが、実際の検証結果では大きな違いが見られないことが一般的です。
おそらく、このような感覚と実際のギャップが敗因の本質であると思われます。
自己反省を通じて言うと、どの程度の優位性なのかを具体的に数値化して把握することをお勧めします。
以上、さつま芋でした。