まえがき
こんにちは、さつま芋です。
いきなり質問ですが、もしも有利な売買条件さえ見つかれば、市場で勝つことができると思いますか?
この問いに対して、ラルフ・ビンスの実験は興味深い結果を示しています。
今回は認知の歪みについて紹介します。
ラルフ・ビンスの実験
数学者のラルフ・ビンスが、博士号を持つ40人を対象に次の条件で実験を行いました。
- 条件1 勝率60%のコンピュータゲームを100回してもらう。
- 条件2 40人の参加者は、それぞれに資金1000ドルで始める。
- 条件3 掛け金は没収されるが、勝てば掛け金の2倍を貰える。
- 条件4 掛け金は自由に決めてよい。
要するに、期待値プラスの有利な勝負だったら勝ち越せるか、という実験です。
実験結果
なんと、実際に勝ち越せたのは40人中で僅か2人だったそうです。
これが示すのは、たとえ期待値がプラスのゲームでも、掛け金の額が適切でないと、負け越す可能性が高くなることです。
思うに、被験者は博士号を持つ人たちなので、資金を予め百等分して掛ければ勝ち越せることは直ぐに気づいたはずです。
それにもかかわらず、欲望や恐怖から不利な掛け方をしたことが伺えます。
仮に、資金を百等分して一回に10ドルずつ掛けた場合、次のようになります。
感想
たとえ資金を分割して均等に掛けるだけの単純な規則であっても、実際にそれを順守できる人は少ないでしょう。
規則順守の難度はダイエットを想像すれば納得できると思います。
適度な運動と食事を保てば痩せるのは自明ですが、その摂生は困難です。
FX取引においても、欲望や恐怖との対峙が本当の課題だと思います。
連敗している時は損失を取り戻そうとして掛け金を増やし、連勝している時は利益が減ることを恐れて掛け金を減らしたくなるのが本能です。
このような本能に逆らう掛け方は、一種の技術と言えると思います。
簡単な小技ですが、視界にロットの計算表を貼ったり、鏡を置いたりするだけでもメタ認知の効果が高まるそうです。
あとがき
シミュレーションしてみると、勝率60%でも100回の中で5連敗することは珍しいことではありません。
さらに、同様の条件で試行を1000回に増やすと、9連敗も確認できました。
とは言え、勝率60%で9連敗を想定した行動は容易ではないと思います。
FXは教科書通りでは勝てないと言われることもありますが、主たる敗因は売買条件よりも資金管理にあるのではないでしょうか。
「オプティマルf」を用いた資金管理方法|ケリー基準(公式)についても解説 | OANDA FX/CFD Lab-education(オアンダ ラボ)
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損失と利益の非対称性とマネーマネジメント|ジョンメリ (note.com)
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以上、さつま芋でした。