まえがき
こんにちは、さつま芋です。
ときどき話題にするFXユーチューバーが、かなり尖ったことを言っています。
なんと【FXで資産100倍にしたやり方】だそうです。
これを数学の文章問題として考えてみたいと思います。
前提
この動画には肝心な情報が不足しています。
特に、ポジションサイズや許容損失はトレードの肝ですが、少なくとも当該動画では語られていません。
私なりに調べてみましたが、見当たりませんでした。
よって、資金管理法(許容損失)は有名な2%ルールを採用します。
文章問題
それでは問題です。
所持金10万円の人が、ドル円トレードで資金を100倍に増やすことが目標です。
勝率55%、損益比1倍のトレードをする場合、何回の取引で目標達成できるでしょうか。
ただし、必要証拠金は1枚(10,000通貨)で56,000円とします。
また、スプレッドやスワップは無視しても構いません。
できれば皆さんも一緒に考えてみましょう。
解答例
予め確認すると、所持金10万円で取引できる最大が約1.7枚(17,857通貨)です。
100,000÷56,000=1.7857
前提として、許容損失は資金の2%とします。
それを踏まえ、利確も損切も20pipsとし、資金10万円に対して1枚(10,000通貨)の複利運用とします。
これは現実的に取引可能な量です。
それでは、利益と損失で利率の期待値を求めます。
利益の期待値=2%×0.55=1.1%
損失の期待値=-2%×0.45=-0.9%
ということで、取引1回あたりの期待収益率は、差し引きすると0.2%です。
1.1%-0.9%=0.2%
続いて、利率0.2%と10万円から1,000万円を次のサイトで計算します。
複利計算(経過年数) - 高精度計算サイト (casio.jp)
経過年数2304.89との結果ですが、2,305回のトレードに相当します。
念のため、Rでシミュレーションも確認しました。
だいたい計算通り2500回くらいで100倍達成です。
レバレッジ規制
上で示したのは、一般的な資金管理の2%ルールを採用した場合の結果です。
2%以上のリスクを取れば話は変わりますが、国内FXには25倍のレバレッジ規制があります。
先程も示したように、所持金10万円で取引できる最大は約1.7枚(17,857通貨)です。
今回の手法であれば、国内FX業者では せいぜい3%のリスクしか取れません。
仮に許容損失を資金3%としても、1,538回のトレードが必要です。
あとがき
シレッと損益比1倍で勝率を55%にしましたが、もはや神技です。
しかもそれを凡人が1,000回も2,000回も続けることは非現実的です。
むしろ、100倍を超えるレバレッジを使ったストーリーのほうが、まだ現実味はあります。
もはや、【FXで資産100倍にしたやり方】がFX風の芝居ではないことを祈ります。
何にしても、この誇大広告を通して久々に数学の勉強ができました。
もし私の計算が間違っていたら教えてください。
library(dplyr)
set.seed(123)N <- 2500
a <- numeric(N)
a[1] = 100000
p <- 0.55n = seq(2, N, 1)
result <- 0
for (i in n) {
if (runif(1) < p) {
a[i] <- a[i-1]*1.02
result[i] <- 1
} else {
a[i] <- a[i-1]*0.98
result[i] <- -1
}
}
plot(x=seq(1,N),y=a, type = "l", ylab = "所持金", xlab = "回数")axis(2, format(axis(2), scientific=FALSE))
options(scipen=999)
abline(h=10000000, col="red")
wins <- sum(result>0)
loses <- sum(result<0)
total <- wins + loses
win_rate <- (wins / total) %>% print()
log(10000000/100000)/log(1.002) %>% print()
以上、さつま芋でした。