まえがき
こんにちは、さつま芋です。
トレードの難しさは俯瞰するところだと感じます。
言い換えると、なるべく目先の結果に一喜一憂しないことですが、負け混むと視野が狭くなって右往左往しがちです。
FXの場合、値幅を取ることよりも値動きを当てることに目が向きがちです。
予想は当たるけど…
「FXにおいて、値幅を取るよりも、値動きを当てたいですか?」
おそらく意味が伝わらないので、具体例にしてみます。
「予想が当たれば5銭だけ順行し、外れると100銭も逆行する値動きを、的中率95%で当てたいですか?」
あいにく期待値はマイナスですし、率直に言って値幅の取れない予想で実務の継続は難しいと思います。
5×0.95 - 100×0.05≈-0.25
皮肉っぽいですが、的中率95%の予想は外すほうが才能かもしれません。
値幅を取るとは…
普通のコインを1000回投げて、予想が当たれば10円受け取り、外れれば5円支払うゲームを考えます。
投げるたびに表か裏か1000回の予想をしても構いませんが、表が1000回と大胆な予想をしても大損することはないと思いませんか。
仮に400回が当たりで600回が外れたとしても、最終的にプラス1,000円の収支です。
400×10 - 600×5=1000
外れることを前提に表が1000回と想定することは、予想というより予定に近い考え方だと思います。
ポジポジ病
ここで、コインを10回だけ投げる場合と比べてみましょう。
運悪く予想が2回しか当たらなければ、20円の損失になってしまいます。
2×10 - 8×5= -20
つまり、運の影響を避けるためには、コインを投げる回数を増やさなければなりません。
これをFXに置き換えると、損小利大でトレード回数を増やすことに相当します。
ちなみに、頻繁な取引をポジポジ病と表現しますが、ポジポジ病自体は大きな問題ではないと思います。
本当の問題点は、負けが混んだときに同じ条件でポジれなくなることです。
確率の収束
次のグラフはコイン投げの確率が収束していく様子を図示したものです。
100人がコイン投げをしたとき、どのように0.5(50%)に近づいていくのか見てください。
見るからに200回まではバラツキが大きいことが明らかです。
ここから察するに、同じ条件で200回以上ポジれるのであれば、ポジポジ病の悪影響は受けにくいと言えそうです。
【FX雑談】必要勝率 - さつま芋の勉強日記 (hatenablog.com)
【FX雑談】不運の確率は想像以上 - さつま芋の勉強日記 (hatenablog.com)
【FX雑談】ポジションサイジング - さつま芋の勉強日記 (hatenablog.com)
付録データ
コイン投げの的中率は理論的に50%ですが、1000投した後でも±3.5%の振れが残っています。
つまり、運だけでも±3.5%の結果が違ってくるわけです。
こうやって細かく数値化してみると、運の影響は極めて大きいことが分かります。
経験で語られる中にも、相当な量の思い込みが含まれていることが推察されます。
#乱数生成: 省略可
set.seed(123)#空変数の作成
X <- c()
P <- c()
R <- c()
#試行人数の設定
m <- 100#試行回数の設定
n <- 1000#実行
for(i in 1:m){2
# t <- sample(c(-1, 2), size=n, replace=TRUE, prob = c(2/3, 1/3))
t <- sample(c(-2, 1), size=n, replace=TRUE, prob = c(1/3,2/3))
x <- cumsum(t)
p <- cumsum(t > 0) / (1:n)
r <- rle(t<0)
#列結合 ベクトルを横に並べて行列にする
X <- cbind(X, x)
P <- cbind(P, p)
R <- cbind(R, max(r$lengths))
}
#プロット
# グラフを2行1列に並べる
par(mfrow = c(2,1))
matplot(X, type="l", lty=1, xlab="試行回数", ylab="得点", main="コイン投げトレード", col = rainbow(m, alpha = 0.6))
par(mfrow = c(1,1))
matplot(P, type="l", lty=1, xlab="試行回数", ylab="表が出る確率", main="確率の推移", col = rainbow(m, alpha = 0.6))
あとがき
なるべくデータに基づいて話を進めていきますが、FX参加者の約60%が負けています。
【FX雑談】勝ち組の推移 - さつま芋の勉強日記 (hatenablog.com)
勝てる人は基本的にFXを続けるでしょうから、もし40%の勝ち組の中から引退する人が1割いると仮定しても、勝ち組の椅子は4%しか空きません。
まるで最難関の資格試験の合格率みたいな数値です。
もちろんFXの勝ち組に定員はないので資格試験とは異なりますが、同様の覚悟は必要だと思います。
それだけの覚悟がある人だったら、FXに挑戦してみても良いかもしれません。
ただ個人的には、リスクを過小評価してまでFXを勧める気持ちにはなりません。
もし指摘などあれば、遠慮なくブログ最下のコメント欄に お寄せください。
以上、さつま芋でした。